頸部痛(首の痛み)
頸部痛(けいぶつう)は、スマートフォンやパソコンが普及した現代社会でよく見られる症状です。特に肩や腕にまで痛みが広がる場合は、神経が圧迫されている可能性があります。日本では肩甲骨周りの痛みを肩こりと呼ぶことが多いですが、頸部痛も日常生活に大きな影響を及ぼし、社会や職場での活動を制限し、生活の質を低下させることがあります。これにより、頸部痛は公衆衛生上の大きな問題となっています。
頸部痛の特徴として以下の点が挙げられます:
再発しやすい。
時間とともに悪化することが多く、特定の職業や事故の後に発症することがある。
関連症状として頭痛、めまい、睡眠障害、首や肩、腕に広がる痛みがある。
首の動きが制限され、筋力低下や感覚異常が生じることがある。
外傷後に強い痛みや広範囲の症状が現れることがある。
不安や鬱などの心理的な問題を伴うことが多い。
米国理学療法協会は、頸部痛を以下の4つに分類しています:
運動機能障害を伴う頸部痛
運動協調機能障害を伴う頸部痛
頭痛を伴う頸部痛
放散痛を伴う頸部痛
頸部痛は、年間で一般人口の30~50%に影響を与え、2~11%の人が日常生活に支障をきたしています。特に中年世代や女性に多く見られ、再発しやすいことが知られています。長時間のデスクワークや運転、喫煙、社会的サポートの不足などが予防可能なリスク要因です。
頸部痛の評価では、まず重篤な問題(Red Flags)がないかを確認します。これには骨折や腫瘍、感染症などが含まれます。次に神経根症状があるかを調べ、必要に応じて運動療法やマッサージ、心理的サポートなどを行います。
また、Centralizationという概念に基づいたエクササイズも取り入れています。これは特定の方向に動かすことで症状を首の中心に集め、最終的に消失させる方法です。この方法は短期的に痛みを和らげる効果があります。
このように、多様なアプローチを組み合わせることで、頸部痛の改善を目指しています。