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2024/09/03

臨時休業のお知らせ

9月3日は令和5年改正景品表示法等説明会に参加するため休業となります。
ご了承ください。

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2024/08/11

2024 ACC/AHA/AACVPR/APMA/ABC/SCAI/SVM/SVN/SVS/SIR/VESS 下肢末梢動脈疾患管理ガイドライン

下肢末梢動脈疾患(PAD)の診断、治療、管理に関する最新のエビデンスに基づく推奨事項を米国心臓病学会(ACC)や米国心臓協会(AHA)をはじめとする多くの専門学会が共同で作成しました。

1. PADのリスク評価と健康格差
PADのリスク評価において、患者の年齢、性別、人種、社会経済的地位が重要な要因であることを強調しています。特に、アフリカ系アメリカ人や低所得層の患者では、PADの発症率が高く、診断や治療の遅れが健康アウトカムに悪影響を及ぼす可能性があるとされています。このような健康格差に対処するためのアプローチとして、より積極的なスクリーニングや教育が推奨されています。

2. 診断方法の進展
非侵襲的検査の重要性が再確認されています。安静時および運動後の足関節上腕血圧比(ABI)測定が基本的な診断手法として推奨されています。さらに、ABIが正常でも症状がある場合には、トレッドミル運動試験やトランスクリティカル酸素測定(TcPO2)などの生理学的検査が推奨されます。また、画像診断として、ドップラー超音波、CTA(コンピュータ断層血管造影)、MRA(磁気共鳴血管造影)が有効であるとされています。

3. 治療戦略の最適化
内科的治療が重要視されています。以下のポイントが特に強調されています。
・抗血小板療法:アスピリンまたはクロピドグレルの使用が推奨され、特に症候性PAD患者には長期的な抗血小板療法が必要です。
・脂質低下療法:スタチン療法は、LDLコレステロールレベルの管理において不可欠とされ、PAD患者には高強度のスタチン療法が推奨されます。
・降圧療法:高血圧はPADの主要なリスク因子であり、血圧の厳格な管理が求められます。
・糖尿病管理:血糖コントロールは、PADの進行を抑制するために重要です。糖尿病患者には、HbA1cを7%以下に維持することが推奨されています。
・ライフスタイルの修正:禁煙、運動療法、食事療法が強く推奨され、特に運動療法は症状の改善と歩行能力の向上に寄与します。

4. 血行再建術の適応と技術
無症候性PAD患者に対する侵襲的治療は原則的に推奨されていませんが、症候性PAD患者や重度の血流障害を有する患者に対しては、血行再建術が適応されることがあります。以下の手技が詳述されています。
・血管内治療:バルーン血管形成術(PTA)やステント留置術が第一選択となる場合が多いですが、治療成功率や合併症リスクについても考慮する必要があります。
・バイパス手術:大腿部や膝下の病変に対しては、外科的バイパス手術が選択されることがあります。特に、長期的な開存率が期待される患者には適しています。

5. 継続的なフォローアップと教育
継続的なフォローアップが推奨されており、定期的な症状評価とリスク因子管理が重要です。また、患者教育を通じて、疾患に対する理解を深め、自己管理を促進することが強調されています。


2024年版 下肢末梢動脈疾患(PAD)管理ガイドラインの理学療法に関する最新推奨
2024年版「下肢末梢動脈疾患管理ガイドライン」は、PADの管理における理学療法の役割を強調しています。特に、運動療法が機能改善と生活の質向上において重要な位置を占めています。以下に、理学療法に関する詳細なポイントを解説します。

1. 運動療法の重要性
運動療法は、第一線の治療として推奨されています。定期的な運動は、血行を改善し、歩行能力の向上や症状の軽減に寄与します。特に、監視下での運動療法(SET: Supervised Exercise Therapy)は、エビデンスに基づき最も効果的とされています。

2. 監視下運動療法(SET)
SETは、運動療法の中でも最も強く推奨される方法です。以下のようなプログラムが推奨されています。
・頻度と持続時間:週に3回、1回のセッションは30~45分程度行われることが理想です。プログラムは少なくとも12週間続けられるべきです。
・運動内容:有酸素運動(例:トレッドミルウォーキング)が中心で、耐性に応じて負荷が調整されます。運動中に症状が現れた場合は休憩し、症状が軽減した後に再開するというサイクルが推奨されています。
・効果:SETは、最大歩行距離を改善し、日常生活の活動性を高めることが確認されています。また、心血管イベントのリスクを低減する効果も期待されています。

3. 自宅運動療法(HBET)
SETが利用できない場合、自宅での運動療法(HBET: Home-Based Exercise Therapy)が推奨されます。HBETは、自身が自宅で実施する運動プログラムであり、以下の要素が含まれます。
・ガイダンスとサポート:理学療法士が定期的に進捗を評価し、必要に応じてプログラムの調整を行います。電話やビデオ通話を通じたサポートが推奨されています。
・運動プログラム:SETと同様の内容で、有酸素運動を中心としたプログラムが組まれます。運動の頻度や強度は、個々の患者に合わせて調整されます。
・自己管理の重要性:HBETでは、自身のモチベーションと自己管理能力が治療効果に直結するため、教育が重要です。

4. 運動療法の効果測定
運動療法の効果を評価するために、定期的な歩行試験や血流測定が推奨されています。これにより、治療の進捗を確認し、プログラムの調整を行うことが可能です。また、自己報告による症状の変化も重要な指標となります。

【引用文献】
https://pdf.sciencedirectassets.com/271027/1-s2.0-S0735109723X0028X/1-s2.0-S0735109724003814/main.pdf?X-Amz-Security-Token=IQoJb3JpZ2luX2VjEHMaCXVzLWVhc3QtMSJHMEUCIQC%2BSnX2VsnnNcF8n1ga%2F4XtPfAHMyZHMDweKfoH1VW15gIgftwgs2%2BZo3S4A9cFyIxzMsfFHjNCYejv6hxEQ9MXJ%2F8qswUIbBAFGgwwNTkwMDM1NDY4NjUiDM%2FGp1vh9Rbk7BKT2yqQBV9KUEeQB5RNgn1LD1mhnSkG9gfWdQpXfRKbOaTDJwBbxqKvGE2V%2FtSREEm3gG8rpc9mUsSfcfZx4k%2Flo65QDyybcAQygTod1sbdHcr9GSienEYbxoM%2FxvBSDJU2G5LALuAolWH6b%2B0%2FnxeSaaHr%2FodeYwnzpltIrTIS5wzqWbH5fIE8aUFQdkcqnWYY77d1o8JNRNmjCVPoMRr%2F343FkJhZHDraQ84w552Ce8SwrVzAjVy2QXWJp8G83k1vQqEX%2BoWmvrhab3LQU5zgkZsi%2BVB7ncfi905qontbX5wAa3DuM0vOQ5Hw%2B6jsbh20QiWiyzynoMXA8B4sxh2AquEOv5rH0XAFMYg0XRlKsIlbya0mrFXn2jDoKuCbv%2FfYp9nT4bw3BueO0DQRy7OJg0pHFJPi3j1a86%2FNmTBh8n%2FU701iGo4gGbLrZGNNSg8A%2FYtSKeaGNT3TX41EfqmsJpDWY794aH1KKvUBOlpRtjcVvXplaec97wIE3R0O3ya%2Fejh2FQTODBj1w%2F1eZJao8Oxa%2FAcp3lZDDPV5WxGYaWW2nViaMhtf6NwDBEF2xZjs%2F0uoMY0nY2IRF%2F1rQPDyCyMaWoF8FXeHmqarTLo2XalwJnY9HDOTlu5wy%2FdfBE6P%2BiJw0%2FDWPFsGlPju%2BTuHi2pFlMRLkq46cZxjfOdG%2FQ0eQ8MNnMXeHghrGpXb4Cl%2F7iQbj94u28iwAKlOR0J7hkWCKZ5RTsfnwT5Y8zP3ND3RvP3uPLykNPmQQSq1mKp2mHwao8VubIxqIIVs%2BVEzBExA2WHIr4d9fQavxv1uJaUXEsbIBBotAl5HqHw3gBUgQHnWE47KhMV5D5zYkXRCIvT6C%2B7pHfBO2JGFGLPDryvxqdPVMODE4LUGOrEBMXjtyhWSaoHWPnCTpWG7ZJYBAp%2BaYhrHq3wOyC5CzGBiaiWOWauTumCrx2XsvbZSOxAjwC5Vmm0z65gLJImfU2lW7hMEECjnjNIcTrnOqNh9XkGumYI0mjTHd7jqqAA18n7lyFFUKH2%2FzprO9T7uSYvkuZSUzbRsrWFQKd%2BxvAcdK9tmOk7T3G7YTJTpw%2F0qwM9RiqplPohuqUIDmFGAerqtRdF6Xe92EAEOthMR4fK4&X-Amz-Algorithm=AWS4-HMAC-SHA256&X-Amz-Date=20240811T030619Z&X-Amz-SignedHeaders=host&X-Amz-Expires=300&X-Amz-Credential=ASIAQ3PHCVTY5HQJTP34%2F20240811%2Fus-east-1%2Fs3%2Faws4_request&X-Amz-Signature=39ba52651df18c2d11af66e9cb1cfbb663995c376d4071d46e637e25d47e4149&hash=c80f5378a1a7757d3e415d2d42fb6a80308d1d73f3fb309fe3be20e10bb84b5d&host=68042c943591013ac2b2430a89b270f6af2c76d8dfd086a07176afe7c76c2c61&pii=S0735109724003814&tid=spdf-22e6c898-2da1-42b9-8d8d-b810285bb254&sid=47a7bcce988d5041b598a3b6bfc8dd9fa56egxrqa&type=client&tsoh=d3d3LnNjaWVuY2VkaXJlY3QuY29t&ua=0f175d07565555505a52&rr=8b150250ac16cffc&cc=jp

2024 ACC/AHA/AACVPR/APMA/ABC/SCAI/SVM/SVN/SVS/SIR/VESS 下肢末梢動脈疾患管理ガイドライン
2024 ACC/AHA/AACVPR/APMA/ABC/SCAI/SVM/SVN/SVS/SIR/VESS 下肢末梢動脈疾患管理ガイドライン

2024/08/10

米国整形外科学会 手根管症候群に関するガイドライン

手根管症候群(CTS)は、手や指に痛みやしびれを引き起こす一般的な疾患ですが、ケアには多くのアプローチがあります。
その中でも、理学療法は重要なケアの一つです。
米国整形外科学会が2024年に発表した「手根管症候群の管理に関するエビデンスに基づく臨床実践ガイドライン」では、理学療法の役割とその効果についても言及されています。

【理学療法の役割】
ガイドラインによれば、手根管症候群の非手術的治療において、理学療法は初期の症状緩和や機能改善に役立つことが示されています。特に、以下のような療法が推奨されています。
・ストレッチングと運動療法
手首や指のストレッチングは、手根管内の圧力を軽減し、症状の緩和に寄与します。
また、筋力強化運動も含めた運動療法は、症状の再発予防に有効です。
・姿勢指導とエルゴノミクス
キーボード操作や日常生活での手の使用法を見直し、正しい姿勢や動作を習得することが重要です。
これにより、手根管症候群の進行を防ぎ、症状の悪化を防ぐことが期待されます。
・神経力学的アプローチ
ガイドラインでは、上肢の神経力学的テクニックの効果は限定的とされており、必ずしも推奨されていません。
しかし、症例によっては個別に適用されることがあります。

【理学療法と手術の比較】
理学療法は、軽度から中等度の手根管症候群にとって有効な選択肢ですが、長期的には手術が必要となる場合があります。
ガイドラインでは、理学療法が短期間の症状管理に有効である一方で、持続的な改善が見られない場合や症状が重度の場合には、手術が検討されるべきとされています。

【術後の理学療法】
手術後の回復期間中、理学療法は重要な役割を果たします。術後の筋力回復や可動域の改善を図るために、理学療法は推奨されることが多いです。
ただし、ガイドラインによると、術後にルーチンで理学療法を処方することは必須ではなく、個々の患者の状態に応じて適用されるべきだとされています。

【まとめ】
手根管症候群に対する理学療法は、症状の緩和と機能の維持において重要な役割を担っています。
症状が軽度であれば、非手術的ケアとして理学療法を積極的に取り入れることで、日常生活の質を向上させることが期待されます。
症状の重症度やケア効果を慎重に評価しながら、理学療法と他のアプローチ法を組み合わせることが、最良の結果を得る鍵となります。

米国整形外科学会 手根管症候群に関するガイドライン
米国整形外科学会 手根管症候群に関するガイドライン

2024/08/09

欧州リウマチ学会連合(EULAR)勧告

2024年、欧州リウマチ学会連合(EULAR)は、全身性エリテマトーデス(SLE)と全身性硬化症(SSc)の患者に対する非薬理学的管理に関する勧告を発表しました。この勧告は、7人のリウマチ専門医、15人の医療専門家、3人の患者からなるタスクフォースによって作成されました。12の具体的な推奨事項と4つの包括的な原則が示され、これらは非薬物療法の有効性と個別化の必要性を強調しています。

主なポイント
個別化されたケア: SLEやSScの管理は、患者ごとのニーズに合わせた個別化されたアプローチが重要です。
補完的なアプローチ: 非薬理学的管理は薬物療法を補完し、生活の質を向上させるために重要な役割を果たします。
患者教育とサポート: 運動、禁煙、光防御、心理社会的介入など、患者教育や生活習慣のサポートが推奨されます。
これらの勧告は、非薬物療法が患者ケアの質を向上させるために重要であることを示しており、今後の研究や教育の方向性も提案されています。

欧州リウマチ学会連合(EULAR)勧告
欧州リウマチ学会連合(EULAR)勧告

2024/05/14

肘部管症候群について

肘部管とは、上腕骨尺骨神経溝から尺側手根屈筋の2頭間にある腱性アーチ(肘頭と上腕骨内側上顆に張るOsborne 靱帯と滑車上肘靱帯)までをいいます。
肘部管症候群(Cubital Tunnel Syndrome:CuTS)は、肘部管部で尺骨神経が絞扼されて生じる高位尺骨神経麻痺であり、病態は進行性です。
絞扼部位は、約8割がOsborne靱帯、1割が上腕三頭筋内側頭の肥大であり、このほかにも上腕三頭筋の筋膜上に存在するStruthers腱弓や滑車上肘筋などの存在も関与します。
また肘屈曲位において肘部管内圧亢進や血流量低下が生じて、症状が増強する恐れもあります。
主に圧迫が原因とされていますが、尺骨神経脱臼・亜脱臼も病態に関与します。

尺骨神経麻痺の症状として、小指の掌・背側と環指尺側のしびれと知覚障害、疼痛を生じます。
進行すると手内在筋(虫様筋)麻痺により小指の鈎爪変形をきたし、握力や巧緻性が低下します。
症状がさらに進行すると、鉤爪指変形やFroment徴候を生じます。
さらに肘関節可動域制限を生じる場合、上肢機能に関与する日常生活にも支障をきたします。
進行性であるため、早期診断と治療方針の決定が重要です。
所見として、①肘部管でのTinel徴候、②Froment徴候、③肘屈曲テスト、④指交差テストが陽性となります。

肘部管症候群(CuTS)の疫学的頻度は0.02~1.8%と決して高くないものの、上肢の絞扼性神経障害としては手根管症候群に続いて2 番目に多い疾患です。
中年男性に多く、単なる加齢だけではなく、農作業、建築業、振動器具の使用などの重労働が関連します。
若年者では野球、柔道、ウエイトリフティング、バスケットボールなどのスポーツ競技者に発症しやすいことが報告されています。

変形性肘関節症による骨棘形成に伴う狭小化が発症因子として多く、関節リウマチ、外傷後の外反肘・内反肘、ガングリオンなども挙げられます。
変形性肘関節症では、骨棘の形成により肘部管容積が狭くなることによって、尺骨神経がOsborne靱帯に圧迫されます。
一方特発性では明らかな器質的原因は明らかでないですが、Osborne靱帯による絞扼が主な原因のことが多いことが報告されています。
日本では、変形性肘関節症(osteoarthritis:OA)によるものが 64%で最も多く、次いで特発性が 9%、肘OAとガングリオン合併例が8%、尺骨神経の脱臼が5%、外傷後4%、外反肘3%、内反肘3%とされています。

まずは医師により診断および治療方針を決定します。
診断にあたって、頸部神経根症、胸郭出口症候群などによる尺骨神経障害との鑑別が重要です。
治療方針は、骨間筋萎縮や神経伝導速度低下の有無によって手術療法もしくは保存療法が選択されます。
進行性であるため、早期診断と治療方針の決定が重要です。
重症度分類としてMcGowan分類や赤堀分類を用います。
赤堀分類では、2 期の知覚障害が強い症例と3 期以上の重症例は手術適応となります。

レントゲンで変形性関節症や外反肘の有無、骨棘の程度を確認します。
また頸椎病変を除外するために頸椎の撮影も行います。
疼痛の強い場合は、ガングリオンの疑いでMRI 撮影を行う。
神経伝導速度検査により、肘部管を挟んだ伝導遅延が認められれば確定診断となり、これは手術適応を判断するうえでも有用な所見となります。

保存療法の適応は、手内在筋萎縮と筋力低下のない軽症例です。
また若年者におけるスポーツが原因となる場合は保存療法を優先します。
一方、中高年者において麻痺の進行を認める場合や保存療法に抵抗する症例では手術療法を選択します。

当院ではFascia Slick Technic(ファシアスリックテクニック)を用いて神経絞扼を起こしている組織に対しアプローチし、同時に繰り返さないための生活環境の提案を行なっております。

肘部管症候群について
肘部管症候群について

2024/05/13

肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)について

肩関節周囲炎は一般的に五十肩や四十肩と呼ばれ、肩関節の痛みと可動域制限を主な症状とし、長期間かけて3つのステージを経て寛解に至る状態です。
経過としては、まず明らかな怪我・誘因がなく肩関節に痛みが生じ、進行的に悪化し、後発的に肩関節可動域制限が生じる(炎症期)。
その後、疼痛が軽減して固さだけが残る(拘縮期)。
経過とともに拘縮が改善していく(寛解期)とされています。
自然に改善するとされていますが、寛解には発症から12~42か月かかり、強い痛みや固さが慢性化することもあります。

レントゲンでは特徴的な骨所見はなく、MRIでは烏口上腕靱帯周囲の肥厚や増殖性滑膜炎・関節包の縮小や肥厚が観察されます。
血液検査では白血球増多、ESR上昇、CRP上昇などは認めないことが多いことが特徴です。

明らかな誘因がない一次性の肩関節周囲炎の有病率は一般人口の2.0~5.3%です。
好発年齢は40~65歳で、女性に多く、反対の肩に肩関節周囲炎の既往がある方は発症しやすい傾向にあります。
糖尿病や甲状腺疾患に関連する二次性肩関節周囲炎の有病率は4.3~38.0%です。
糖尿病を合併している肩関節周囲炎症例の90%は保存療法で治癒します。

肩関節周囲炎に対する施術ではどのステージであるかを判断し、それぞれに合った治療を行うのが重要です。
炎症期の施術では疼痛緩和を目的とした運動制限(ポジショニングによる安静)を行い、症状の悪化がないことを確認のうえ、痛みの生じない範囲での肩関節運動を行います。疼痛緩和目的に整形外科での薬物療法(外用薬や NSAIDs,ステロイド注射)や物理療法を併用することがあります。
拘縮期では、疼痛緩和に加えて、他動的関節可動域の拡大を少しずつ進めていくことにより、痛みのない運動範囲を増やすことを目的にします。可動域制限に対する伸張運動では、痛みの程度に合わせて強さを調整します。疼痛緩和や運動範囲の獲得を目的に、温熱療法や電気療法を可動域運動前に行うことがあります。
寛解期は疼痛や関節可動域制限が改善し、日常生活の制限もなりますが、正常な肩と比較すると可動域制限が残存していることが多くあります。職業やスポーツなど、患者の目標に合わせてセルフエクササイズを中心とした積極的な施術を行います。

肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)について
肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)について